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ガートナー:今後3〜5年で重視すべきDX動向
2021年3月10日、ガートナー ジャパン株式会社(以下、ガートナー)は「2024年までの間、簡易なワークフローの全社展開に際し、IT部門の適正な管轄の下でビジネス部門に運用を任せられない企業の8割以上は、展開の取り組みに失敗する」という展望を発表しました。
COVID-19の影響もあり、DXを進めようとする企業が多く出てきました。しかし、ガートナーによると、企業におけるDXの意味合いが、新規ビジネス開発をはじめとするデジタル・イノベーションではなく、ペーパーレスやハンコレスといった電子化やSaaS活用のようなニーズを満たすための取り組みに偏るケースが増えているそうです。このように現在はペーパーレスのような電子化の取り組みが広がっていますが、それだけではなく並行してデジタル・イノベーションに向けた取り組み行うべきとのことです。
また、ガートナーは、テクノロジー活用が進んでいる企業と、目前の対応を重視するあまり結果的に後れを取った企業の差が顧客や取引先から見ても明らかになれば、企業のブランド毀損や顧客満足度や企業への期待感の低下に繋がると注意喚起を行いました。さらに、テクノロジーを導入したからといって問題が解決したわけではないと考え、顧客や従業員の満足度を高めていく施策を取ることが肝要だというアドバイスが記載されています。
コロナの影響により、クラウドやSaaS等の言葉を毎日耳にするようになりました。このような技術を取り入れ、企業のデジタル化を進めることは悪いことではないでしょう。しかし、DXはそれだけはなく、本メディアのDX有識連載の記事でも紹介したように、自社の業界と組織にとってはそれがどういう意味を持つかについて考えることも忘れてはいけません。
日本のデジタル・イノベーションに関する展望を発表(ガートナー)
国内パブリッククラウドサービス市場、2025年までに2.4倍に
2021年3月8日、 IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は国内パブリッククライドサービス市場規模が2025年までに2.4倍になるとの予測を発表しました。
本予測はIDCが2020年10月に実施した何らかのクラウドを利用中の企業を対象としたWebアンケート調査「国内クラウド需要調査(Japan Cloud User Survey)」の結果によるものです。
クラウドを優先的に検討する「クラウドファースト戦略」を有する企業が、2019年10月調査の58.5%から65.5%と大きく増加しています。また、コロナ禍の影響によって、42.3%の企業が「クラウドの利用促進」の重要度が高まったと回答しているようです。しかし、「企業文化、組織」「人材」「DXビジョン、適用領域の選定」「予算」などの課題によって、多くの企業ではDXの具現化は進んでいないとも書かれています。
今回のIDC Japanのレポートで、DXの問題意識が高くなったものの、実現フェーズにある企業が少ないことが分かりました。DXの大きな課題は新しい技術だけではなく、採用方針や文化、組織全体に至ります。本メディアでは、DX導入を行った IKEA や Netflix といった大手企業の事例を紹介しています。こちらより多くの事例を見ることができるので、合わせてご覧ください。
国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表(IDC Japan)
三井住友FG、新AIシステム「BERT」採用で銀行DXを加速
SMBCグループは米グーグルが開発した自然言語処理に特化したAIである「BERT(バート)」をベースにコールセンターの照会応答業務を支援するAIシステムを開発したことを発表しました。
2016年4月にAIのシステムが導入され、既に顧客の満足度、新人の離職率やコストというあらゆる面で成果を出しました。しかし、BERTを元にした新AIシステムは既存AIシステムよりも正答率が高いため、それ以上の成果を期待し、総費用をさらに2割削減することを目指すとのことです。
「BERT」を採用した新AIシステムは2021年6月から、まずSMBC日興証券と三井住友カードのコールセンターで使い始め、最終的にSMBCグループ全体で活用する予定とのことです。また新AIシステムの外販も視野に入れているそうで、国内金融機関にBERTの導入が加速する可能性があります。
顧客中心思想はDXにおいても重要になるため、顧客接点は改善し続ける価値があります。また、SMBCのように新しい技術を小規模でテストしてから他への適応性に気付き、そして新しいビジネスモデルまで産まれるというプロセスは他社も参考にできる事例だと思います。
いかがでしたでしょうか。少しでもDXに取り組む経営者・リーダーの皆さまにとって役立つ情報があれば幸いです。次回の週刊DXニュースもお楽しみください。