世界的な食品メーカーであるネスレ・カナダのDX責任者を独占取材
ネスレは世界的な食品メーカーであり大企業です。アイスクリームやピザ、ベビーフード、水、お菓子など多様なカテゴリーにまたがるネスレは、キットカット、ネスプレッソなどの世界的に有名なブランドを数多く保有しています。150年の歴史の中でネスレは、事業や市場、組織のあり方を進化、成長、変革させてきました。Amazonでのブランドチャネルやチャットボット、プログラマティック広告など、今日の市場で重視される手法は、ネスレのマーケターが取り組むべき最新の課題のごくわずかに過ぎません。
今日はネスプレッソのおいしいコーヒーを飲みながら、ネスレカナダのデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)について、ECのリーダーであるリー・ビーチ氏に「ネスレのDX事例とその法則」についてインタビューしてきました。ネスレがこの新しい課題にどのように取り組んでいるのか、そしてまた大きな成功を収めた会社のデジタル変革をどう成し遂げているのかを尋ねました。もしあなたが大企業に所属する経営者もしくはCDO、それに準ずるリーダーであり、DX推進に音を上げているのであれば、それはやり方が間違っている可能性が高いです。ネスレの事例がそのままあなたの会社に当てはまるかは分かりませんが、DX推進における考え方のヒントが提供できれば幸いです。
ーー美味しいコーヒーをありがとうございます。リーさんは長い間ネスレで働いていて、もはやベテランですね。現在の役割について教えてください。
私はネスレで働いて約17年になります。今の時代には珍しいことのように思われるかもしれません。私の最初の仕事は、ネスレの英国オフィスで、組織がどのようにウェブサイトに取り組むべきかを検討したのが始まりでした。それからドイツに移り、2005年にカナダにやってきました。今の役割は、ネスレカナダを世界的なデジタルリーダー、そしてデジタル市場の勝者として確立することです。様々なプロジェクトをリードしたことが今の役割に繋がりました。
ネスレのような規模と複雑さを持つ組織では、退屈な瞬間はありません。だからこそ、私がこの仕事を長く続けてこられたのかもしれません。そして、ネスレ・カナダをデジタル分野のリーダーにするという任務を与えられたことは私にとって最良の瞬間の一つでした。
ーー他のインタビューではDXという言葉がいかに抽象的であるかについて話をしてきました。ネスレの見解はどうでしょうか?
デジタルはネスレのあらゆる場面で、私たちが実践してきた全てを変化させる存在です。これは世界中どこの企業もそうです。デジタルが身近になるにつれてビジネスのあらゆる部分を変革すると感じています。断言しますが、これは避けられないことです。
これだけDXの重要性が叫ばれる中で、「デジタルを自分で使いこなせず、顧客の利便性を損なっていても平気な顔をしている人が機を逃すのは当たり前である」と考えています。
ウォルマートなどのパートナー企業がどのようにデジタルに変化しているかを見てください。ネスレカナダでは、マーケティングが変革をリードする真のチャンスがあると考えています。当社のコミュニケーション・マーケティング・エクセレンス担当副社長のトレイシー・クックは、このことを非常に声を大にして推進してきました。結局のところ、私たちのマーケティングの役割は、消費者と顧客の両方のニーズを先取りすることであり、それは端的にデジタルソリューションを意味しています。
営業やマーケティングは顧客接点の最前線です。私たちはこれまでの常識を目の前の顧客を見てアンラーニングし、大きな変化を楽しんできました。社内では「変革の旗手」と呼ばれています。