あなたの会社がSpotifyモデルを構築する方法

スポティファイモデル

編集部から一言:本記事はJurriaan Kamer著が執筆した『How to Build Your Own “Spotify Model”』を本人の協力の元、DX Review編集部が日本語に翻訳したものである。

今回扱うテーマは「Spotify Model」。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上での組織構造変革や顧客価値創造のための組織体制として知られているモデルである。SpotifyはこのSpotify Modelと呼ばれる組織構造を武器にGoogleやAppleより常に一歩先へ行くことを可能にした。この記事を読むとデジタルトランスフォーメーション(DX)では必要不可欠な、常に高スピードで変化に追従するアジャイル開発を取り入れるためのヒントが得られるだろう。

もっと知りたい場合は、Jurriaan Kamer著『Formula X: How to Reach Extreme Acceleration in Your Organization』もぜひご覧いただきたい。

2011年の冬、SpotifyのCTOであるあなたはカフェの窓から雪で覆われている暗いストックホルム(Spotifyの創業地)を見ている。実に素晴らしい一年だった。利用者がとてつもない早さで増加し、次から次へと新しい国でサービスをローンチできた。しかし、グーグルとアップルも手を止めることはない。これを生き残るためにSpotifyは本当のグローバルプレイヤーにならざるを得ないのだ。

その上、産声を挙げたばかりの音楽配信業界は分からないこともまだ多い。「利用者が本当に望んでいるのは何?」「何のためならお金を払ってもいいと思ってくれる?」「CDやMP3の購入から配信に切り替えてくれるためには何を訴求すれば良い?」。これらの問いを解きながら、GoogleとAppleの攻撃にも対抗する準備をしなければならない。

私たちは、競合他社よりも早く実験し、学ぶ必要があります。

これら全てをグローバル規模でこなすために、エンジニアリングチームの拡大は必要不可欠だ。1000人のエンジニアが必要と言われるが正直、圧倒される。去年10人から100人まで大きくすることででさえ難しかったからだ。マネジメントの面でも100人のチームは十分に複雑だ。チームをそれよりも拡大した時、アジャイル性(機敏な開発)をどう維持するのか。今までの成長を支えたスタートアップの文化が動きの遅い大企業に変わらないようにどうしたらいいのか。難問ばかりで頭が痛い。

Spotifyの社内体制

さらに2年が経過して、利用者数は1500万人まで増えた。エンジニアリングチームも3倍の300人となった。しばらくの間頭に浮かんだ課題は「30のチームで誰も好まない30個のレンガの山を作るのではなく、顧客にとって意味のある城をどう構築するか」である。

そこで、チームをSquad, Tribe, ChapterとGuildで整理する体制でテストすることにした。狙いは、官僚っぽさや縦割り主義を最低限にしながら自治性と連携性のバランスを上手にとることだ。

スポティファイモデルの体制図
Source: Spotify’s engineering culture

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